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平岡康裕氏インタビュー[vol.2]

-東海社会人サッカーリーグ1部は、現在何チームが所属していてリーグ戦は年間何試合あるのですか?

ウチを含めて8チームですから2回戦総当たりの年間14試合ですね。ですからリーグ戦の試合数は多くはないのですね。あと「全国社会人サッカー選手権(全社)」という大会があって、その大会でベスト4まで勝ち上がれば地域チャンピオンズリーグに出場できるのですが…。今年はFC岐阜SECONDにまさかの敗戦で勝ち上がれませんでした。2年前の県リーグに所属していた頃から東海社会人サッカーリーグ勢を倒してチャンピオンズリーグに出場していましたからね。

-リーグのアウェー戦の愛知県や三重県への移動はどうされているのですか?

クラブのマイクロバスで移動します。僕が運転して行きますよ。そのために中型免許の解除が必要でしたから自動車学校へ行って来ました。もう1人運転できる人がいますから、その人が無理な時は僕が運転して現地まで行っています。

-平岡さんが選手バスを運転して行くのですか?

はい。これがアマチュアリーグの現実です。コーチだからサッカーのことだけをやれば良いわけではないんですよ。ただ、まだ2回だけですけど、最初に伊勢まで行きました。

-マイクロとはいうもののバスの運転は大変ではないですか?

いや、運転に関してはそこまで大変なことはないですよ。ただ、20年ぶりにマニュアル車に乗った時に「クラッチ?」と。それがトラックのマニュアル車でしたから尚更苦労しました。めちゃくちゃエンストしていました。でも、自動車学校の先生がサッカー好きで僕を知っている方で「自動車学校のSNSに載せていいか」と言われました。

-何回もエンストしたことを載せたのですか?

いや、自動車学校に免許解除に来たことですよ。ちょっとエスパルスサポーターが「平岡が自動車学校に行っている」とざわついたみたいです。

-平岡さんはプロコーチとして、まあ運転手もされていますが、基本的にはコーチ業に専念されていると?

そうですね。あとはスポンサー獲得のために、呼ばれれば僕も一緒に行ったりしています。ホームタウンでのイベントなどにも顔を出したりしますね。

-ここからの平岡さんの目標というものは?

まずはここでしっかりと結果を残すことが今の目標ですが、指導者を始めたからには将来はJリーグのチームで何かしらやれればと思っています。自分が19年間闘っていた場所で今度は指導者として戻ってやりたいなと思います。

-やはり最終的にはJクラブの監督をやってみたいと?

そうですね。ですが、そこまで行くのには凄く大変なので…。そこへの拘りはあまりないですかね。ただ、S級コーチまでは取れなくてもA級まではしっかりと取って指導していきたいなとは思います。

-逆にもっと若いユースや高校生への指導者になることは考えてはいませんか?

タイミングとチャンスがあればどのカテゴリでも僕はやってみたいというのはあります。これまでのサッカー人生の中でもいろいろな人に恵まれてやって来られたと思っていますし、自分の中でその時の良いタイミングで決断もできて19年間渡り歩けて来られた自負もありますから、チャンスとタイミングがあればいろいろなことにチャレンジしたいという思いはあります。

-でも、今はこのクラブを1つでも上のカテゴリに上げることに全力を注ぐと?

そうですね。あわせて今いる選手たちが1つでも上のカテゴリでプレーできるスキルを身につけさせたりすることで「岳南Fモスペリオ」というクラブの知名度を上げることにもつながると思うので、今は選手を育ててかつ上に行くことを実現したいですね。

-平岡さんの選手育成、指導方法で重要視していること、またはモットーは何かありますか?

まだないですね。始めてまだ間もないですし…。でも、ある程度選手たちから求められることは自分のこれまでの経験から的確なアドバイスをしたいと思っています。自分の強みとしてはディフェンダーでしたからディフェンスのことは分かりますし、逆に攻撃についても、対峙していましたから「こういうFWの動きは嫌だった」という目線で話ができるので、攻守の両方でアドバイスができる面は僕の強みかなと思います。

-実際に今指導している選手の中に、将来的には上に行けそうな選手はいますか?

本当に若い選手が多いので「今すぐに」という感じではないですが、2年先くらいには上にチャレンジできる選手は何人かいますね。あとはそういう選手たちが、どのタイミングでそのチャンスを掴めるのかということじゃないですか。やはりプロになるチャンスを掴める選手というのはほんの一握りしかいないですし、そのチャンスに気付ける選手も一握りしかいないので…。これが「チャンス、キッカケなんだよ」と気付けるように自分たちが伝えられればとは思っています。そこは自分の重要な仕事だとも思っています。

-今までの経験からそのターニングポイントとなり得るチャンスを伝えてあげたいと?

そうですね。「常にチャンスは転がっている」というのを伝えなければいけないと思います。

-現在の成績、チーム状態というものはいかがですか?

今(7月21日現在)は良くないですね。8チーム中6位です。ただ、自動降格の7位の藤枝市役所と勝ち点は並んでいます。8月は試合がないので、9月から再開される残り5試合で1つでも順位を上げて行くことになります。

-2部への降格は2チームですか?

そうです。2チームが自動降格となります。今の順位表だと、残念ですが静岡の4チームが下位を占めてしまっています。上位のFC刈谷(愛知県)とFC.ISE-SHIMA(三重県)は勝ち点で少し抜け出している感じですけど、それでも直近の試合ではFC刈谷と引き分けて連敗をストップしました。とにかくカテゴリを下げるわけにはいかないので、残り5試合で結果を残したいと思っています。

-今シーズンから東海1部で挑戦しているわけですが、やはり2部とは違い難しいですか?

いや、1点差負けや逆転負けで勝ち試合に持ち込めてはいないですが、まったく歯が立たないというわけではないですから…。1試合だけ0-3という試合(第9節対wyvern)は、アウェー戦でうまく回らずに今シーズンワースト試合でしたけど、実力差で負けた感じではなかったですね。実際に同じ相手に1-0で勝利していますから、リーグ的にはそこまで抜け出ているチームはないですね。

-なかなか結果に結び付かない時は、選手たちにはどういう声掛けをしていますか?

難しいですね。言葉を掛けるのも…。やはり選手は試合が終わった直後は感情的になっていますし、悔しさが増して来ますからね。自分がプレイヤーだった時もすぐ声を掛けられてもなかなか受け入れにくいことが多かったですから、なのですぐには声を掛けられないですね。「切り替えろ」という言葉が相応しいのかも分からないですし、僕は「切り替えろ」という言葉は使いたくないですね。むしろその「悔しさ」を味わってほしいですし、次へのモチベーションにしてもらいたいので、切り替える前にまずはその悔しさを噛みしめてもらいたいです。

-そうするとエスパルス時代などで試合後のミックスゾーンでメディアに声を掛けられるのは嫌でしたか?

聞かれる内容によりましたね。「そんなこと言われなくてもやっている選手が一番分かっていますよ」と。まあ、話す時には言葉を選んで包んで言いますけどね。中にはピンポイントで図星を言われることがあったけど、その時は「そうなんですよね」と。

-メディアについては何か思うことがありますか?

練習終わりや試合後に話を聞きに来てくれたのはありがたいと思っていましたよ。「やっている僕らとはちょっと違った感じでそう思われていたのだな」と認識できましたからね。僕としてはそういういろいろな考え方を参考にはさせてもらっていました。他の選手は分からないですけど、僕としては言われることを悲観的に捉えるよりも、とりあえずは受け入れていましたね。

-現役時代の思い出というのはどのようなものがありますか?

そうですね。清水時代に(長谷川)健太さんが監督でリーグ戦の上位にいる時に試合に出させてもらったことがありました。カップ戦の決勝戦に自分は2試合(2012Jリーグヤマザキナビスコカップ清水対鹿島、第98回天皇杯仙台対浦和)出たのですが、その2試合とも勝てなかった、優勝できなかったということが自分の中では非常に悔しさが残っていますね。

 

-岡崎慎司さんも引退されて、平岡さんと清水に同期入団した選手は全員現役を終えました。その中でも平岡さんは国内では最後の現役としてプレーされていたわけですが、そこは何か感じられていましたか?

どうなんですかね。まあ、高校の時から大滝(雅良)先生から「すぐには大成しないから我慢強くやれ」と言われていましたから…。自分でもそう思っていましたし、清水に同期で入った面子がアオ(青山直晃)や岩下(敬輔)、僕も年代別の代表には呼ばれていましたけど、自分よりも身長も体重もあって体格も良くて実際に練習が始まってシーズンがスタートしてパフォーマンス的にもまだまだ自分は足りていないというのは感じていました。自分がやらなければいけないことが分かっていたからこそ、そこを埋める努力をして来たつもりでしたし、あとは「オンとオフの切り替え」というものは意識していました。やっぱり、サッカーだけに集中し過ぎると自分の性格上良くないというのは認識していたので…。そこは試合に出始めてからはしっかりとオンとオフのメリハリをつけたからこそ、ここまで長く現役をやれたんだと思っています。

 

続く